ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
「好きなことをやれ」「やりたいことをやれ」と言われ、自分でもそうしようと思うのだが、そもそも自分が「何が好き」で、「何がやりたい」のか、この一番肝心な問題がわからないということは案外多いと思う。
本書の中では、この「やさしくない」問題に対して、「ロールモデル思考法」という画期的な思考法が紹介されている。
『「ロールモデル(お手本)」として、たった一人の人物をロールモデルとして選び盲信するのではなく、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に 流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデ ルを丁寧に収集するのである。
そしてなぜ自分がその対象に惹かれたのかを考え続ける。これを繰り返して、自分の志向性を細かく定義していくプロセスである。』
ロールモデル思考法は、行動が伴わなければ何の価値も生まない実学であるとし、具体的なアドバイスも提示している。
ロールモデル思考法により「自分の志向性」を定義し、『ネット空間上の「無限の情報」と「自らの有限の志向性」をマッピング』し、「学習の高速道路」(後述)を疾走できることは、ウェブ時代に生きる者にとって、大きな希望だと思える。
『ネット空間は「知と情報」に関しては「リアルな地球」と同じくらい大きな「もうひとつの地球」とでも言うべき存在へと発展し、「知と情報」が、 ネットを介して容易に共有されるこれからの時代は、ある分野を極めたいという意志さえ持てば、あたかも高速道路を疾走するかのようなスピードで、効率よく 過去の叡智を吸収できる。そして、高速道路を走りきったなと思ったあたり(「その道のプロ」寸前)で大渋滞が起こる。』
これが「学習の高速道路」と「その先の大渋滞」と表現され、著者は、大渋滞の存在にかかわらず、自分が好きなことについて目の前に高速道路が広がっているのだから、とにかく行けるところまで突っ走ってみよう。と、持ち前の前向きな結論を提案する。
『大渋滞の先でサバイバルするには、そこを走り抜き専門を極める「高く険しい道」(専門志向の自由な生き方)、そこを降りて歩く「けものみち」(総合志向の自由な生き方)の選択肢がある』と言う。
『「好きを貫く」新しい生き方と、現実社会と折り合いをつけて「飯を食う」ことの両立』、『リアルの地球と「もうひとつの地球」を自由に行き来し ながら創造的に生きる』ということが、その気になりさえすればできる面白い時代に生きているということの幸せを感じ、また、著者と同様、この先の時代の進 化をもっと見て見たいと感じた。
コンピュータ・テクノロジーの進化を「ウェブ一辺倒」で捉えている感はあるが、著者の深い思索に裏打ちされた文章には、たくさんのノウハウと、変 化の時代に生きる喜びと希望、新たな発見が詰まっていて、ただ読み流すだけではもったいなく、自分なりにノートにまとめて読み返し、このノウハウを役立て たいものだと感じた。
気になったキーワード「Only the Paranoid Survive」
「病的なまでに心配性な人だけが生き残る」
「Entrepreneurship」
『アントレプレナーシップの真髄とは、「自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない」』
「Vantage point」
「見晴らしのいい場所」その分野の最先端で何が起きているのかを一望にできる場所のこと。
「in the right place at the right time」
「正しいときに正しい場所にいる」
本書で紹介されている本。ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
ウェブ人間論 (新潮新書)
やれば、できる。
Web 2.0 ツールのつかいかた まだ、Googleだけですか?
知的生産の技術 (岩波新書)
知的生活の方法 (講談社現代新書 436)
「へんな会社」のつくり方 (NT2X)
フューチャリスト宣言 (ちくま新書)
アメリカ素描 (新潮文庫)
僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝―
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)